能 融

  
 
 人は誰しも この世ならぬものに ひかれてしまうのではないでしょうか。

    亡くなった人に 美しい月夜の晩に 出会えたら 夢のようにすばらしい。

    能の世界は そんな、幽玄の極みです。

   1月2日 23:00~ NHKで 「厳島観月能 能「融(とおる)」喜多流」 の再放送をしていました。  

    とても素晴らしかったので ご紹介します。

   「融」世阿弥の名曲。 シテ 友枝昭世。

    シテは老人から貴人へ。 融の大臣の在りし日の姿(亡霊)。 なんと美しい姿でしょう。
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    能「融」のあらすじは
   「都を訪れた旅の僧が六条河原の院で、汐汲の老人に出会います。
    海辺でもないのにと尋ねると、
    今は荒れ果てているが、昔は左大臣源融が、塩釜の浦を模して造園し海水を運ばせ塩焼をして風流を楽しんだと語ります。
    そして、京の山々の名所を教えると、月を見て汐を汲む頃合いだと言い消え失せます。
    六条辺りに住む者にそれは源融の霊だろうと教えられ、旅僧は弔いをします。
    すると、貴人の姿の融大臣(亡霊)が現れ、名月の下で美しい舞をまい、
    月が西に傾くと共に、消えて行く」というものです。

    「早舞」の美しいこと。
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    詩情にあふれた曲・・・ 海に浮かぶ厳島神社の能舞台。 ゆらゆら揺らめく 潮の変化が 幽玄さを一層際立たせ・・・
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    源融(みなもとのとおる)は実在の人物で、嵯峨天皇の第8皇子。17歳に臣籍降下し、源朝臣姓を賜りました。
    源氏物語の光源氏のモデルとしても名高い。
    
    「融」は、世阿弥の傑作で、源融の栄枯盛衰の人生を月の満ち欠けの永遠と 滅びさった物への対比がすばらしい。

    厳島神社の 潮の揺らめきと 灯りが、テレビを通しても ゆらゆら揺らめくようで・・・
    かつての盛りの六条河原の院、そして、荒涼とした六条河原の院が見えてくるようでした。

    美しい融の大臣の舞い遊ぶ姿は 時間を超越した世界にいざなってくれるのでした。

    「月も早や 影傾きて明方の 雲となり雨となる この光陰に誘はれて 月の都に入りたもふ
    あら名残惜しの面影や 名残惜しの面影」

    能は 滅びの美学といいますね。 

    現実から離れた世界を 私も 夢 見たようでした。  亡くなった人に出会えたような・・・。

    大きなカタルシスを感じた 永遠の時間のようでした。
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by kkpnx151 | 2012-01-03 23:08
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